カウンセリングで「お任せします」と言われたときに試してほしいこと
「お任せ」の裏にある心理
「今日はどうされますか」 「お任せします」
この会話、毎日のように繰り返されていないでしょうか。
お任せされるのは信頼の証でもあります。ただ、本当に何でもいいわけではないはずです。お客様の中には「うまく言葉にできない」「要望を伝えて断られたら気まずい」「選択肢が多すぎて決められない」という心理が隠れています。
脳科学の研究によれば、人は選択肢が多すぎると意思決定を放棄する傾向があります。これを「決定回避」と呼びます。メニューが豊富であることはサロンの強みですが、お客様にとっては負担にもなりえるのです。
選択肢を「3つ」に絞る
決定回避を防ぐ最もシンプルな方法は、選択肢を絞ることです。
「今日の髪質だと、3つの方向性が考えられます」
こう切り出すだけで、お客様は格段に選びやすくなります。全メニューから選ぶのではなく、プロが3つに絞ってくれた中から選ぶ。この構造を作るだけで、カウンセリングの質が変わります。
提案の具体例
悪い例:「今日はどうしましょうか。カットだけでも、カラーもできますし、トリートメントもありますが」
良い例:「前回のカットから6週間ですね。今日は3つの方向性が合いそうです。1つ目は今のシルエットを維持するメンテナンスカット。2つ目は少し軽さを出して夏っぽくする。3つ目は前から気になっていたとおっしゃっていたインナーカラーを入れる。どれが気になりますか」
違いは明白です。後者は「あなたのことを覚えている」「プロとして判断している」「選びやすい形で提示している」の3つが同時に伝わっています。
「聞く」より「観る」が先
カウンセリングの冒頭でいきなり「今日はどうしますか」と聞くのは、実は順番が逆です。
まず30秒、お客様の髪を観察してください。前回からの伸び具合、ダメージの状態、クセの出方。それを言葉にして伝えることから始めます。
「前回より少しクセが出てきていますね。梅雨の時期は出やすいですよね」
この一言で、お客様は「見てもらえている」と感じます。その安心感があってはじめて、本音の要望が出てきます。
提案を「命令」にしないコツ
提案する際に気をつけたいのは、押しつけにならないこと。
「こうしたほうがいいですよ」ではなく「こういう方向性もありますが、どう思いますか」。語尾を疑問形にするだけで、お客様は自分で選んだ感覚を持てます。
人は他人に決められた選択より、自分で決めた選択に満足感を覚えます。これも脳科学が証明している事実です。美容師の役割は、正解を教えることではなく、お客様が正解にたどり着くための道筋を整えることです。
カウンセリングのチェックリスト
明日から意識してほしいのは、この4つの順番です。
- まず観察する(30秒、髪の状態を見る)
- 気づいたことを伝える(「前回よりクセが出ていますね」)
- 3つの方向性を提案する(プロとして絞る)
- お客様に選んでもらう(疑問形で締める)
この流れを習慣にするだけで、「お任せします」の中に隠れている本当の要望を引き出せるようになります。お客様の満足度が上がり、結果として指名やリピートにつながります。
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